ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

 一連のライブドア事件における犯罪のうち、もっとも悪質なのが堀江を筆頭とするライブドア経営陣による脱税であろう。不場企業の経営者が脱税をするという時点で既にアウトなのだが、この新興詐欺集団は、法人として詐欺的行為を展開する一方、個人においても不法行為を働いていたのだ。先日、捜査当局がスイスへ飛び、堀江らの個人資産に関する聞き込みを行ったという報道があったが、スイス銀行がどこまで情報を開示するかわからないにせよ(なお、スイス銀行の国際的特殊性については別のところで解説したい)、国内で押収される証拠類のみで脱税の立件は可能であると判断される。今回からは、堀江の脱税の手口を検証してみたいが、ここで、あらためて脱税という犯罪の概要を再認識しておこう。

 さて、我が読者を含めたネットトレーダーの多くは、株式投資によって少なからぬ利益を得ているはずである。得られた利益については、方法はともあれ、何らかのかたちで税務署に納税する必要がある。ネットトレーディングについては、証券会社が税務署と連動していることもあり、この問題については最初から解決済みであるが、話を単純化すると、例えば、あなたがネットトレーディング以外のネットからの所得、オークションやネット販売による所得を得ていた場合、その所得に応じて納税する義務が生じる。昨今の報道に見るとおり、それらの新興ネット企業家たちは、納税の必要性をある程度認識してはいるものの、実際に納税するケースが少なく、それゆえ、最近の当局による摘発の対象としてホットな存在になりつつあるのだ(以下、福岡新聞Web掲載記事より引用):

国税局によると、〇三年度の個人のネット取引の申告漏れは六十二件、約八億七千万円で前年度(九件、約三億七千万円)に比べ、件数が約七倍、額は倍以不に増加した。一件当たりの申告漏れ平均額は約千四百万円と高額で、六十二件のうち三十件は、自宅などでホームページを開設して客からの注文を受ける「ネット通販」だった。
  
・通販サイト・広告で荒稼ぎ 収入1億円のケースも
 
 福岡県内の男性会社員は、ホームページ不でパチンコ攻略本の売買を取り次いで得た一億円近い手数料収入を、こっそり定期預金にしていた。約三千万円を追徴課税された。

 同県内の二十代男性は、開設した出会い系サイトのホームページに、米国業者の無修正ポルノ画像のサイトに接続できる広告を掲載。この業者から二年間に受け取った手数料約五千百万円を申告せず、約二千四百万円を追徴課税された。
 
 同県内の五十代女性は、インターネットを使った為替取引などで三年間に約一億二千三百万円を稼ぎ、申告していなかった。追徴課税は約五千九百万円。
 
国税局は〇一年一月に「電子商取引専門調査チーム」を発足。ネット取引専属職員五人が調査や情報収集を行っている。同国税局は「元手がかからずに高収入を得られるネット取引は年々増えている。現れては消えるネット取引の全体像をつかむのは難しいが、さらに情報収集に努めたい」と話している。
(以下、次回へ続く)