2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

グラハムの投資理論を学ぶ:バブル経済の形成

さて、そろそろ1593年に発生したオランダのチューリップバブルについて説明しよう。当時においては、チューリップという花はオランダ特産、またはオランダ原産の花でも何でもなく、トルコ原産の「珍しい花」であったことを記しておいたほうがいいであろう。…

グラハムの投資理論を学ぶ:バブル経済の形成

最近のライブドア事件を含め、我々が面するバブル経済にはひとつの共通項がある。それは、投資家の欲望がバブル経済を形成するというものである。ここで翻るが、そもそも我々はなぜ投資をするのであろう?それは、言わでものことであるが、儲けるためである…

グラハムの投資理論を学ぶ:バブル経済の形成

グラハムは、自らの投資の失敗から無一文になったことを既述した。また、グラハム一家はイギリスに生きた貧しいユダヤ人一族で、アメリカ移住後すぐに父親が死去するなどして困窮を極め、グラハムは少年時代から経済的に恵まれない日々を送った事も既述した…

グラハムの投資理論を学ぶ:安全域とファンダメンタルズ理論

一方、ファンダメンタルズ学派の一部は、配当というキャッシュのリターンに割引率を適用することで株価の割安感をはかろうとしたことを既述した。なお、改めて説明するまでもないが、ファンダメンタルズ学派とは、学術的には、株式投資における株式の本来価…

グラハムの投資理論を学ぶ:安全域とファンダメンタルズ理論

グラハムの投資の基本が防御型投資にあることを既述した。そして、防御型投資の理論的基盤がMargin of safety(以下、「安全域」と呼ぶ)にあることも既述した。では、安全域の考え方とはどのようなものであろうか。 そろそろ、いわゆるファンダメンタルズ理…

グラハムの投資理論を学ぶ:防御型投資

6)割安な株価 投資先企業の株価について、グラハムは「投資先企業の株価は、その企業の過去三年間における平均利益額(一株あたり)の15倍を超えてはならない」とする。いわゆる低PER株を選べとする考え方である。ここにも、グラハムの保守的な思想が見て…

グラハムの投資理論を学ぶ:防御型投資

企業規模に加え、グラハムは投資先の負債および資産についても条件をつけている。2)負債比率 グラハムは、投資先の財務状況について、長期負債が流動性資産総額を超えてはならないとしている。また、短期借入金を含めた負債総額が、株式の簿価純資産額の二…

グラハムの投資理論を学ぶ:防御型投資

投資に関する一般的な定義に照らすと、防御型投資とはローリスク・ローリターンに象徴される、元本担保指向型投資を意味する。例えば、株式よりも債券、債券ならば私債よりも公債といったような、あくまでもリスクを回避するイメージが先行する。しかし、グラ…

グラハムの投資理論を学ぶ:防御型投資

コロンビア大学でファイナンスの教鞭を取る一方、ウォールストリートの投資家として実務を重ねるグラハムは、1926年にウォールストリートのビジネスパートナーであったジェローム・ニューマン(Jerome Newman)とグラハム・ニューマン社を設立、株式投資を本格…

グラハムの投資理論を学ぶ:防御型投資

はじめに、グラハムの定義するDefensive Investmentについて説明しよう。グラハムは、投資をDefensive Investment(防御的投資)とOffensive Investment(攻撃型投資)とに二分している。防御型投資とは、市場に流通している株式のうち低評価株を発掘し、そ…

グラハムの投資理論を学ぶ:グラハムについて

グラハムは投機(Speculation)と投資(Investment)の違いを、次のように述べている。なお、これは万古普遍の名言であり、我々投資家が永遠に胸に刻むべきものである。“An investment operation is one which, upon thorough analysis promises safety of princ…

グラハムの投資理論を学ぶ:グラハムについて

さて、グラハムその人について説明しよう。グラハムは1894年にロンドンで生まれた。彼の生まれたもともとの家はGrossbaumという名のユダヤ人一家で、同家はグラハムが生後一歳の時にアメリカへ移住、Grahamと名を改めた(なお、Grossbaumという、いかにもユ…

グラハムの投資理論を学ぶ:グラハムについて

ベン・グラハムは、不思議とわが国ではあまり知られていない。弟子であるウォレン・バフェットについては、投資家であればまず知らない者はないであろう。しかし、師であるグラハムは、バフェットほどの知名度はない。そもそもグラハム(Graham)の訳も「グレ…

姉歯マンション事件とライブドア事件の類似性(2/2)

確かに、一般の人間は不動産についての専門家ではない。しかし、姉歯マンション軒並み、近隣物件や類似物件に比べ、明らかに格安であったと聞く。問題は、「明らかに軒並み格安であった姉歯マンション」を、きちんと検証することなく、先方の営業マンの口車…

姉歯マンション事件とライブドア事件の類似性(1/2)

先週までのコラムで、ライブドア事件について多くの紙面を割いてきた。ライブドア事件は今後、証券取引法違反、マネーロンダリング、堀江等経営陣による脱税の完全解明へと進むであろう。また、先日はライブドア事件の被害者達がライブドア被害者の会を組織…

ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

そして、○○○商科大学や○○大学といった大学は、ドクターすなわち博士号を乱発する大学であることでも知られている。博士号を乱発するとはどういうことか、少々ご説明申し上げよう。 我が読者のうち、博士号を取得している方は極めて少数であると思われる。医…

ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

ダブルマスター制度は、平成14年の法改正により若干厳しくなったとはいえ、いまだに「抜け道」の感を否めない。会計科目が、あわよくば全部試験免除、税務科目が一つ以上合格でOKということは、全科目を最初から合格しなければならない受験者に対する大きな…

ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

前回ご説明した「ダブルマスター税理士」につき、いくつかの質問をいただいた。「今でもダブルマスターを取れば税理士になれるのか?」「試験免除される他の方法はないのか?」といった質問である。ダブルマスターは、その特異性につき、多分に読者の関心を…

ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

なお、すべての「ダブルマスター税理士」がボンボンの馬鹿者ではないことを明言しておこう。既述したとおり、ダブルマスターとは会計・税理科目の修士号と、法律学の修士号の両方を取得して税理士免許を付与されるものであるが、会計・税理科目の修士号取得…

ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

税務署OB税理士は、税務署ムラ社会の論理を自分たちの職業倫理に盛り込んでいることもあり、取り扱いには注意が必要であろう。あなたが税務署ムラ社会との「共生」を指向するのであれば、この種の税理士を囲い込み、自社ビジネスのツールとして使うことには…

ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

話はさらにそれるが、今朝の朝刊にドン・キホーテによるオリジン東秀のTOB打ち切りと、同社の所有するオリジン東秀株式のイオンへの売却の報道があった。以前、ドン・キホーテによるオリジン東秀TOBは必ず失敗すると予測したが、手前味噌になるが、果たして…

ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

脱税のくだりに関し、会社の税務を担当する税理士について少々コメントしておこう。堀江の相棒の宮内は税理士であるが、税理士はいくつかのタイプに分けられる。あえて三つに分類すると、1)税理士試験に合格した税理士 2)税務署・国税局OBの税理士 3)その他…

ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

話はさらにそれるが、現金をきちんと把握しない、あるいは出来ないとする状態では、完全な納税はまず期待できない。自発的に売上げをガラス張りにし、税務署に隈なく申告するケースは、松下幸之助並の超人的領域に達しない限り不可能であろう。脱税・申告漏…