ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

 ダブルマスター制度は、平成14年の法改正により若干厳しくなったとはいえ、いまだに「抜け道」の感を否めない。会計科目が、あわよくば全部試験免除、税務科目が一つ以上合格でOKということは、全科目を最初から合格しなければならない受験者に対する大きなハンディになるであろう。

 なお、ダブルマスターは廃止されたが、「ダブルドクター」の制度は依然として残されている:

問 平成14年4月1日以後に大学院の博士課程に進学したが、博士の学位による試験免除制度の概要を教えてほしい。

(答 ) 税理士法改正後の博士の学位による試験免除制度は次のとおりです。

(1)税法に属する科目等に関する研究により博士の学位を授与された者は、国税審議会に免除申請を行うことにより、税法に属する科目3科目の試験が免除されます。

(2)会計学に属する科目等に関する研究により博士の学位を授与された者は、国税審議会に免除申請を行うことにより、会計学に属する科目2科目の試験が免除されます。
国税庁ホームページより)

大学院でふたつの「ドクター」を取ることにより、晴れて無試験で税理士になる道は残されているのだ。脇道にそれることを覚悟でさらに続けるが、このような「ダブルドクター」を取得するための「大学院」は現在でもちゃんと存在している。

少子高齢化の進行に伴い、大学の全入学問題が議論されている。山口の某大学が経営破綻したり、関西の大学同士が合併したりと、大学は軒並み生き残りをかけたサバイバル時代に突入している。このような流れの中、「ダブルドクター」取得による税理士免許取得の「容易性」を強調することにより、学生を獲得しようとする動きが出始めている。
 
 「ダブルマスター」制度が温存されていた時代も、マイナーな大学、特に地方の大学のうち、「商学」と「法学」の両方の学部を持つ大学が、露骨に「ダブルマスターによる税理士免許取得」を宣伝文句にして学生を集客していた。名古屋にある○○○商科大学や、東京ディズニーランドのそばにある○○大学などはその代表例であろう。○○大学のごときは、大学院の学部新設の時点で当初から商学部に会計科目を「盛り込み」、試験免除申請の「雛形」どおりにカリキュラムを組んでいたから見事というほかない。税理士を含めた、いわゆる「サムライ業」では、「出身大学」を問われないカルチャーがあることもあながち無関係ではないであろう。
(次回へ続く)