2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ミシシッピ会社事件★★ダイジェスト版★★

4月19日から8日間に亘って掲載したコラムのダイジェスト版。 投資生活に役立つ知的コラムを、たった☆1日で習得できます!! また、明日からはアメリカのバブル事件をご紹介。ご期待下さい! 【PRコーナー】http://www.wintrade.jp/pc/default.aspx?ai…

バブル経済に学ぶ:ミシシッピ会社事件

ミシシッピ会社事件の結末は、南海泡沫事件やライブドア事件の時と同様、首謀者の摘発と責任追及に終始した。一時はフランス財政の救世主と目されたジョン・ローであったが、彼が発案したスキームが崩壊した今となっては、救世主どころか売国奴か大詐欺師の…

バブル経済に学ぶ:ミシシッピ会社事件

さて、ローが乱売したミシシッピ会社株式の代金は、同社がまもなく発見するであろう金脈の探査にあてられることはついになかった。それらは、実はフランス政府の抱える莫大な負債の返済にあてられたのである。ローおよびフランス王室銀行が発行した国債の償…

バブル経済に学ぶ:ミシシッピ会社事件

ローのぶち上げたミシシッピ会社による金と銀の採掘事業は、おのずから話題を呼び、投資家の期待はいよいよ高まった。ミシシッピ会社がついに採掘事業を開始するというニュースが伝わるや、同社の株を求める投資家が殺到した。ミシシッピ会社はその後、アフ…

バブル経済に学ぶ:ミシシッピ会社事件

ローは、単にフランス王立銀行への一般大衆による投資を促進するためにだけ王立銀行株式払込手形を発案したわけではないようだ。ローは、今でこそ当たり前となった貨幣経済の先鞭的実験を個人レベルで実施していた感がある。銀行実務家としてのローは、交換…

バブル経済に学ぶ:ミシシッピ会社事件

加熱するフランス経済を飽和させ、さらにはさらなる拡大のための材料としてローがぶち上げた事業計画は壮大そのものであった。1717年8月、ローは1712年にアントニオ・ド・クロサットが創業したルイジアナ会社と国営カナダ会社を買収し、西方会社(Compagnie …

バブル経済に学ぶ:ミシシッピ会社事件

ローの発案による王立銀行の新規発行株式、つまり一株5,000ルーブル額面価格株式は、一般投資家にとって極めて求めやすい方法で販売されることになっていた。つまり、価格5,000ルーブルは4回の分割払いで、しかも最初の1回目だけ現金で、残りの3回は手形(厳…

バブル経済に学ぶ:ミシシッピ会社事件

偉大なる経済学者アルフレッド・マーシャルは、ジョン・ローについて、「無謀で、バランスの悪い人間であるが、極めて魅力的な天才である」と述べている。また、カール・マルクスは、「詐欺師と伝道師を混ぜ合わせたような、一種の好ましい人物である」と述…

バブル経済に学ぶ:ミシシッピ会社事件

今回から偶然にも南海泡沫事件と同じ時期にフランスで発生した別のバブル事件、「ミシシッピ会社事件」について解説する。なお、前回までのコラムタイトルは「グラハムの投資理論を学ぶ」とさせていただいていた。一方、当コラムの最近のテーマは、ほとんど…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

オランダのチューリップバブルや今回の南海泡沫事件といった、歴史上の大きな経済事件を見事な筆致で記したチャールズ・マッケイは、南海泡沫事件について次のように記録している。 「1720年の秋にイギリス国中のおもだった町で集会が開かれた。そこでは、そ…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

もともと実体のない株式が実体以上の価格で取引されていた場合、それが下落した時のスピードは想像以上に速い。1720年8月に株価のピークを迎えた直後に暴落した南海会社の株式は、9月には175ポンドへ下落し、その後どんどん値を下げて12月には124ポンドにま…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

バブル会社に投資した人の全員が、自分の投資先の事業計画が完全に実現可能であると信じていたわけではない。彼らは、投資先の事業が計画通りに実現するであろうと信じるにはあまりにも「分別」がありすぎた。しかし、彼らのほとんどが、「自分たちよりもっ…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

この当時の投資家は、「新興企業」でさえあればどんなものにも食らいついたように思われる。現代の我々から見ると恐ろしく滑稽であるが、しかし、当時の投資家はいたって真面目であったのかもしれない。熱狂が彼らを盲目にしたとしか思えないが、この当時の…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

1,000ポンドの大台に到達した南海会社株式は、飽くなき投資意欲を持つイギリス大衆の熱狂が押し上げたものであったが、彼らの投資意欲は何の根拠もなく高揚させられたものではない。南海会社が次々と「次なる新事業」を発表して投資家の話題をさらい、それを…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

独占貿易会社である南海会社の本業は言うまでもなく貿易業である。しかし、1719年時点での南海会社の貿易事業は、まったく鳴かず飛ばずの状態が続けられていた。スペインとの貿易協定により、メキシコとの南米貿易が開始されるという、当時においては夢のよ…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

富くじの成功に気を良くした南海会社は、1719年にイギリス政府に対し、垂涎ものと即座に判断される極めて魅惑的なオファーを提示した。それは、新規に発行される国債の半額(総額30,981,712ポンド)という巨額の債務を、同社が発行する新株と引き換えに5%と…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

経営不振に陥った企業が、ことの背景や理由はいずれにせよ、徐々に詐欺師集団化してゆくことが往々にしてある。1712年に設立された南海会社も、その例外ではなかったようだ。 南海会社の経営者達は、投資家に対する表向きの体裁を整えるのは巧みであったよう…

グラハムの投資理論を学ぶ:南海泡沫事件

バブルに熱を上げる人々は、とりあえず相場が値上りしているからカネを投じるのであって、ファンダメンタルズなどといった小難しい事とは最初から関係がないのだという意見をよく聞く。確かにその通りで、グラハムがいくら自説を説いたところで、即興のマネ…

グラハムの投資理論を学ぶ:オランダのチューリップバブル

またたくまにおとずれたチューリップバブルの崩壊を受け、時の政府高官は、チューリップの価格がこれ以上下落する合理的な理由は何もないと公式に宣言したが、それに耳を傾けるものはいなかったようだ。価格下落に対する救済措置として、オランダ政府はさら…

グラハムの投資理論を学ぶ:オランダのチューリップバブル

このように、オプション取引はレバレッジ効果を発揮するが、それは投資が成功した際のリターンを拡大させ、一方、失敗した際のリスクを増大させる。先のライブドアへの投資において、少なからぬ数の投資家が信用取引で甚大な被害を受けたが、時のオランダに…

グラハムの投資理論を学ぶ:オランダのチューリップバブル

ここで説明しておくが、チューリップバブルが蔓延した1593年当時のオランダでは、現在の我々が当たり前のように活用している情報ネットワークというものが存在していなかった。チューリップという「珍奇な植物」が、実は大変にカネになるという情報が伝播し…