ライブドア錬金術のメカニズムを解明する:脱税編

 話はさらにそれるが、今朝の朝刊にドン・キホーテによるオリジン東秀TOB打ち切りと、同社の所有するオリジン東秀株式のイオンへの売却の報道があった。以前、ドン・キホーテによるオリジン東秀TOBは必ず失敗すると予測したが、手前味噌になるが、果たしてそのような結果になったようだ。企業のM&Aとは、まさに結婚と同じで、お互いに「どうしてもこの人と一緒になりたい」という願望と目標がなければ決して実現しない。敵対的TOBは、今回のケースのように、一方の当事者の一方的な利益をのみ目指すので、どの道失敗に終わってしまう。しかし、短期的な投資という意味においては、このようなある意味「間抜けな敵対的TOB」をしかける輩を株価上昇要因として捉える必要性はあるかもしれない。事実、今回に続き、先週はバンプレストに対するTOBが発表されたが、直後、同社の株価は大きく上昇している。

 話を戻すが、税務署OB税理士がリスクになる場合があるというのは、税務署OB税理士は退官後も「税理士OB」であり、古巣の税務署と完全に縁が切れていないことに多く依拠している。つまり、古巣の税務署は、退官して民間へ「巣立っていった」元同僚に、「民間からの情報提供」を大いに期待しており、退官したOBは、古巣の「元同僚」に対し、期待される情報をきちんと、「何らかのかたちで」提供しているのである。例えば、税務署OB税理士は、古巣の税務署に対して提供する「獲物」を年間に数件「用意」しているのが「常識」とされている。税務署は、職員の「摘発ノルマ」が非公然的に課されており、ノルマ達成のための「獲物」がどうしても必要とされる。税務署OB税理士は、そうした古巣のニーズに対応するべく「獲物」を自分のクライアント内外から用意し(むろん、クライアント外が多いとされる)、古巣の「後輩」たちに差し出してやっているのである。「獲物」にされる企業こそいいつらの皮であるが、税務署というムラ社会においては、このようなある種「美しい互助会的機能」というものが、おのずと醸成されてしまうのかもしれない(なお、企業によってはこの種の機能を活用するため、税務署OB税理士を名誉職的に雇用する場合もある。言うなればひとつの天下りポストのようなものであるが、さして大きくもない会社に税理士が複数名存在している場合は、ほぼ間違いなくこのようなケースであると考えていい)。

 税務署OB税理士は、このように古巣である税務署とのパイプを売り物にしており、中にはそれを声高に宣伝して営業している輩もあるくらいである。なお、この手の税理士は、必ずしも税務に精通しているとは限らず、むしろ、本当に税理士として適正なのか疑われるような輩も少なからず存在している。以前、私の知人が経営する会社がこの手の税理士を雇っていたが、あまりにも無能であるため、やむなく解雇した。しかし、その直後、彼はきちんと「復讐」を果たした。その税理士が解雇された直後、今まで行われたことのなかった税務調査が突然入り、痛くもない腹を探られた上、グループ間取引を問題にされ、在庫過小申告等のカドにより申告漏れを指摘されたのである。
(次回へ続く)