グラハムの投資理論を学ぶ:防御型投資

 企業規模に加え、グラハムは投資先の負債および資産についても条件をつけている。

2)負債比率

 グラハムは、投資先の財務状況について、長期負債が流動性資産総額を超えてはならないとしている。また、短期借入金を含めた負債総額が、株式の簿価純資産額の二倍を超えてはならないとしている。この発想も、筆者の想像では、世界恐慌により無一文になった彼の苦い経験から生まれたと思われる。

3)収益の安定性

 投資先企業の収益について、グラハムは、その企業が過去10年間において赤字を計上していてはならないとしている。これも恐ろしく保守的な発想であるが、彼に言わせると、赤字を計上することはその会社の経営者が「無能」であることを証明しているわけで、「無能な経営者」が経営している会社に投資することほど危険きわまりないことはないというのだ。たしかに、最近のトヨタがいい例だが、収益が減収となった時点で経営者を入れ替えるということを、エクセレントカンパニーはすべからく行っている。

4)配当

 投資先企業の配当について、グラハムは次のようにいう「投資する会社の条件としては、その会社が過去20年間配当を支払い続けてきたという実績が必要である。過去20年回配当を支払い続けてきた会社は、当面の間配当を支払い続ける可能性が高い」。これも恐ろしく保守的な発想だが、配当を投資利回りの重要な一部と考えるグラハムにとっては、投資先の企業が配当を今後も支払い続けるということが必要条件のひとつなのであろう。

5)成長性

 また、投資先企業の成長性について、グラハムは、「投資先企業の成長性を見るに、純利益が年率30パーセント以上増加し続けていることが望ましい」という。ここでも筆者は補足しなければならないが、グラハムが生きた時代はこのような現象が一般的で、また、投資先の企業としてはこのような会社が少なからず存在した。しかし、現在に生きる我々はこれを現代にアジャストしなければならない。年率30%をインフレーションレートから逆算し、反対にデフレレートを調整するに、年率8パーセント程度の純利益増加率でよしとせねばならないであろう。特に、企業の規模がある程度以上の場合、そこに年率30パーセントの純利益増加を求めるのは、ほとんどないものを求めるに等しいとせねばなるまい。
(次回へ続く) 企業規模に加え、グラハムは投資先の負債および資産についても条件をつけている。

2)負債比率

 グラハムは、投資先の財務状況について、長期負債が流動性資産総額を超えてはならないとしている。また、短期借入金を含めた負債総額が、株式の簿価純資産額の二倍を超えてはならないとしている。この発想も、筆者の想像では、世界恐慌により無一文になった彼の苦い経験から生まれたと思われる。

3)収益の安定性

 投資先企業の収益について、グラハムは、その企業が過去10年間において赤字を計上していてはならないとしている。これも恐ろしく保守的な発想であるが、彼に言わせると、赤字を計上することはその会社の経営者が「無能」であることを証明しているわけで、「無能な経営者」が経営している会社に投資することほど危険きわまりないことはないというのだ。たしかに、最近のトヨタがいい例だが、収益が減収となった時点で経営者を入れ替えるということを、エクセレントカンパニーはすべからく行っている。

4)配当

 投資先企業の配当について、グラハムは次のようにいう「投資する会社の条件としては、その会社が過去20年間配当を支払い続けてきたという実績が必要である。過去20年回配当を支払い続けてきた会社は、当面の間配当を支払い続ける可能性が高い」。これも恐ろしく保守的な発想だが、配当を投資利回りの重要な一部と考えるグラハムにとっては、投資先の企業が配当を今後も支払い続けるということが必要条件のひとつなのであろう。

5)成長性

 また、投資先企業の成長性について、グラハムは、「投資先企業の成長性を見るに、純利益が年率30パーセント以上増加し続けていることが望ましい」という。ここでも筆者は補足しなければならないが、グラハムが生きた時代はこのような現象が一般的で、また、投資先の企業としてはこのような会社が少なからず存在した。しかし、現在に生きる我々はこれを現代にアジャストしなければならない。年率30%をインフレーションレートから逆算し、反対にデフレレートを調整するに、年率8パーセント程度の純利益増加率でよしとせねばならないであろう。特に、企業の規模がある程度以上の場合、そこに年率30パーセントの純利益増加を求めるのは、ほとんどないものを求めるに等しいとせねばなるまい。
(次回へ続く)