製薬業界の再編と、そこに生じる大きな投資機会の話 ◆ダイジェスト

★★★GW★★特別企画★★★
GW中に、話題の医療業界をマスターしよう!!

私のHP上で年末年始に連載して、ご好評頂いたコラムを、
1日1話のスペシャル◆ダイジェスト版でお届け!!
もっと詳しく読みたいという方は、こちらで↓↓
http://www.wintrade.jp/pc/default.aspx?aid=7620


製薬業界の再編と、そこに生じる大きな投資機会の話 ◆ダイジェスト版◆ 12/21〜12/23

 製薬業界の大物から、業界再編問題とそこから生じる莫大な投資機会の話を聞いた。投資の対象として製薬業界、特にジェネリック医薬品メーカーが今注目なのだ。ジェネリック医薬品とは、ある製薬メーカーが開発した医薬品のうち、承認や特許などの先発権が無効になったものを、後発メーカーが改めて製造した医薬品である。例えば、タケダが開発したアリナミンは、開発から7-15年間先発権が保証される。医薬品開発のコストは膨大なため、先発権の保証により新薬開発へのインセンティブを確保しているのだ。

 一方、先発権が切れた医薬品は、後発メーカーが医薬品承認品目を製造免許の製造品目に追加するだけでいいため、設備と技術があればいくらでも製造できる。製薬業界ではジェネリック医薬品を製造するメーカーを「ゾロ」と呼ぶが、「ゾロ」はジェネリック医薬品の製造により、莫大な利益を得ている。そして「ゾロ」は、国という最大の援護者を味方に、更に事業を拡大するチャンスを獲得している。

 「ゾロ」の事業規模がなぜ拡大してゆくのかを説明する。第一に、我が国医療制度改革の直接的影響がある。医療費削減のため、厚生労働省行政改革を実施し始めている。医師会が診療報酬引き下げに応じたが、医療制度改革の大ナタとしては、それはほんの序の口に過ぎない。もっと直接的で実効性の高い改革こそ、ジェネリック医薬品の医療現場への半強制導入なのだ。

 我が国の医療現場では商習慣で、先発メーカーの医薬品が惰性的に処方されてきた。医師達は医薬品を、極端な話「医薬品名」ではなく「商品名」をカルテに書き込み、処方していた。今後は処方権を医師から薬剤師に移し、「一般名称」による処方が一般化される。また、コスト面でも、同じ医薬品を製造するためにかかるジェネリック医薬品メーカーのコストは、先発メーカーの50-70%程度。医薬品の開発費が全くかからないため、コストは下がり、薬価も30%程度安くなる。

 第二に、製薬業界の再編を促す当局の指導方針がある。当局としては、新薬開発は大手二社程度に集約し、残りのメーカーはすべて「ゾロ」として集約させたいのだ。我が国製薬業界は近代化へ向け、二分化しながら集約されてゆくだろう。二分化とは、技術力や製造能力に特化したメーカーと、規模の拡大により利益を得るメーカーとに集約されることである。前者は、製造専門のメーカーであり、後者は、技術的特異性はないが、M&A等によって企業規模を拡大し、利益を最大化させるメーカーである。

 また、規模拡大型ゾロメーカーも大きな利益を獲得できる。技術的付加価値の小さい医薬品は、先発メーカー1社に対し、極端な場合10社以上の「ゾロ」が追随する。このような「製品付加価値は小さいが、市場規模は大きい」ジェネリック医薬品を作るのは、出来るだけ少数の方が経済効率は良く、ゾロメーカー同士が合併するのは合理的なのだ。投資的観点からは、胃薬といった「製品付加価値は小さいが、市場規模は大きい」品目を持つゾロメーカーおよびそれらの合併先が有望である。

 このようなジェネリック医薬品メーカーへの投資は総じて「買い」であろう。投資先発掘のポイントは、1)後発ゾロであり、何らかの技術的特異性、優位性を有すること 2)後発ゾロであり、製造品目の中に「製品付加価値は小さいが、市場規模は大きい」品目を有していること、が挙げられる。