医療業界という名の有望投資先:病院再生ビジネスの実態●ダイジェス

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医療業界という名の有望投資先:病院再生ビジネスの実態●ダイジェスト版● 1/11〜1/23

 病院再生ファンドという、病院をターゲットにした企業再生ファンドがある。まずは企業再生ファンドについて解説しておこう。アメリカには古くからプライベートエクイティという、投資家の金融資産をファンド化して未公開株式に投資する制度があるが、それは1990年代を通じて成長を続け、やがて企業買収に特化したものをバイアウトファンドまたは企業再生ファンドと呼ぶようになった。プライベートエクイティは、我が国でも1990年代初頭より発達した。

 現在の我が国の企業再生ファンドの主流は外資系である。一方の銀行・サービサー連合チームのファンドの本質は、銀行の不良債権処理である。その中の病院再生ファンドは、銀行の貸付先顧客である病院を、ファンドの対象としている。ところで近年銀行は復活をとげ、空前の利益を計上している。そのため、ついに病院に対する不良債権処理が行われることとなったのだ。今まで銀行は病院の社会性を鑑み、貸し渋りなどは原則行わなかった。しかし、このような情実融資を受け続けた病院は、結果的に放漫経営となってしまった。

 しかし、それは逆に、病院再生ファンドは通常の企業再生ファンドに比べ、大きな利益を獲得できるということでもある。しかも病院は規模が大きく、土地等の資産も膨大なのでかなりの投資事業性を有していると言える。また、一つの自己完結型生活空間である病院は、関連事業の規模も驚くほど大きい。病院再生ファンドは、直接的・間接的にこれら関連事業に関係し、少なからぬ利益をあげるだろう。

 では、病院再生ファンドのストラクチャーを解説しよう。まず銀行は、病院に対する不良債権をパッケージ化し、まとめて売りに出す。これをバルクセールと呼ぶ。バルクは特定のファンドに売却するか、入札で最高値をつけたところに売却される。一方、再生が難しいケースは、複数のファンドに競合させて売却価格を吊り上げる。これをビットと呼ぶ。ビットで最も高い価格で入札したところがバルクを落札する。

 バルクを獲得したファンドは、病院の経営に直接関与し、経営戦略の再構築や経営コストの削減を実施する。また、診療コストの拡大に向けて、収益モデルの転換を図る。その後、病院の再生が順調に進むとエクジットが行われる。エクジットは通常、利益代表者に債権を買い取らせるか、他金融機関からリファイナンスをつけさせる。債権買取からエクジットまでの期間は、通常数年程度である。そのためファンドとしては、安く買い叩いたデットを、出来るだけ早く高値でエクジットさせることが目標となる。ある情報によると、これで得られるファンドのリターンは、年率30-50%と極めて高いそうだ。

 一般にはこの病院再生ビジネスは知られていないが、外資系を筆頭とする再生ファンドはこのビジネスを強化し、確実に利益を手中に収めてゆくであろう。では、投資機会の可能性としては何が考えられるか。ここで、まもなく登場する病院向けREITビジネスをご紹介する。これは、通常のREITと同様の金融商品だが、対象を病院等の医療機関に限定している。病院向けREITは、病院の土地や建物をメインのターゲットとするが、周辺の付帯設備や建設予定の施設も対象とする。このような病院向けREITはまだ存在していないが、個人的に得た情報によると、まもなく第一号が登場するようだ。