砂上の楼閣理論を解説する 1

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砂上の楼閣理論を解説する 1

 以前に解説した株式のファンダメンタルズ学派は、投資先株式のファンダメンタルズを分析し、本来価値を求めることをひとつの目標としている。そこでは、投資先の経営数値や財務内容をきちんと把握し、十分なリサーチや分析を行うことでファンダメンタルズを把握することが可能であるという重要な命題が前提にされる。そこで、「本来価値」というタームが重要視され、「本来価値」を逸脱した低評価株式を発掘することを付随目的としている。

 これに対し、ファンダメンタルズ学派が掲げる命題が、必ずしも真でないとする学派が複数存在する。今回解説する砂上の楼閣理論学派が筆頭に上げられるが、ファンダメンタルズ学派反対派の主張の主なものは、そもそも投資先のファンダメンタルズを把握することは不可能であるか、または、可能であるにしても把握することそのものに意味がない、とするものである。

 なお、砂上の楼閣とは英語の Castle in the sand を直訳したものである。言語の意味は、「砂の上に作られた城」であり、弱い基盤の上に作られた構築物の事である。英語では、「弱くてもろいもの」「長続きしないですぐに崩壊するもの」を意味する言葉として使われる。

 さて、砂上の楼閣学派の重鎮の一人としてあげられるべきは、かのジョン・メイナード・ケインズであろう。偉大な経済学者で、自身も実践的投資家であったケインズは、1936年に砂上の楼閣理論の本質を、この上なく明確な文章で表現した。彼の主張によれば、プロの投資家という者は投資対象株式の本質価値を見出すためにではなく、大衆投資家が将来どのように行動し、強気が支配する局面において、希望的観測がどのように砂上の楼閣を作り上げるかを分析することにエネルギーを費やすべきであるというのである。どのような市場の状況が大衆の砂上の楼閣づくりを引き起こすかを探り当て、他の投資家が気づく前にそれに投資することによってゲームに勝とうというのである。

 ケインズによれば、ファンダメンタルズ学派のアプローチは、やることが多い割はその効果が疑わしい。実際、ケインズは自分が唱えたアプローチを実践した。つまり、ロンドンのシティの投資のプロたちが一日中オフィスで汗を流して企業のファンダメンタルズ分析に没頭している一方、ケインズは毎朝起床前、ベッドの中で30分だけ株式市場の事を考えたと言われている。この、実に優雅な投資方法によって、彼は自分の財産を何百万ポンドも増やし、母校ケンブリッジのキングス・カレッジのファンドマネージャーとして、その基金を何百万ポンドも増やしたとされる。ベン・グラハムと同じ時期に投資家として実践していた経済学者ケインズは、自身の投資理論の中に砂上の楼閣探しを基盤に置き、その構成と力学的方向性を考察することにより、結果として巨万の富を得たとされる。
(次回へ続く)