投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

5月19日から始まった「砂上の楼閣理論を解説する」
★★★好・評・連・載・中★★★本日・日目★★★


前回までのあらすじ
→ファンダメンタルズ学派に対する学派の筆頭
 砂上の楼閣理論学派。同学派の重鎮ジョン・メイ
 ナード・ケインズは、投資先企業の将来収益見通しや
 配当性向がどうなるか誰にも正確にはわからないと
 主張し、株式市場を考える拠り所として一般投資家の
 集団的心理の状態、内容、方向性を重視した。
 投資は言うなれば自己増殖的なプロセスであり、
 買い手は将来他の誰かが自分が買った価格より高い
 価格で買ってくれる期待があるから投資を行うのだという。



http://www.wintrade.jp/pc/default.aspx?aid=7620


砂上の楼閣理論を解説する 4

 さて、ここまで解説してきたところで、そろそろ我が読者は砂上の楼閣理論の、実際上の応用範囲がどこにあるかお気づきになろう。砂上の楼閣理論は、株式のファンダメンタルズよりも投資家の群集心理を反映した株式の値動きに着目する(そもそも、ファンダメンタルズに分析対象としての価値を認めていない)。そのような分析アプローチは、一般的にはテクニカル分析と呼ばれ、ひとつのカテゴリーを形成している。そして、それに対極するカテゴリーとしてファンダメンタルズ分析が挙げられる。

 テクニカル分析を一言で言い表すとすれば、株価チャートをつくり、それに様々な解釈を与えることだと言えるであろう。そして、そのような活動を行う者は一般的に「チャーチスト」と呼ばれている。それらチャーチストの研究対象は、株価や出来高の値動きや推移に関する記録であり、彼らは、それらを分析することにより、今後の相場動向を知る手がかりが得られるものと信じている。
 
 チャーチストの信ずるところによれば、株価の値動きのうち、合理的な説明のつく部分はせいぜい全体の10%くらいで、残りの90%は心理的な要因によるものであるという。彼らは、いみじくもケインズが今から80年前に喝破したように、投資に勝つポイントは、正に美人投票コンテストにおいて参加者の集団心理を読むように、他のプレーヤーの心理と、それに基づいた行動を読むことにあるという。

 テクニカル分析における第一の考え方は、投資対象企業の過去の利益水準や配当性向、または将来の業績といった情報は、その企業の過去の株価に全て反映されているとするものである。つまり、その企業の株価や出来高を反映したチャートは、ファンダメンタルズ学派が分析対象とする企業のファンダメンタルズ情報を既に包含しており、いまさら研究する必要がないというのである。上のケインズの主張に照らした場合、美人コンテストの対象となる女性についてのファンダメンタルズ情報、例えば身長、体重、年齢、職業といったものは、ゲームの参加者においてはすでに公知のものとされているか、あるいは類推的に把握されており、今更分析すること自体無駄であるというのだ。チャーチストは、そのような公然情報の「分析」に時間を費やすことよりも、美人コンテストの参加者の「心理」や「行動パターン」を読むための分析手法の精度を上げようというのである。

 チャーチストが信じる第二のポイントは、全ての株価は何らかのトレンドをもって動くというものである。例えば、上昇トレンドにある株価は、一般的には、上昇を続ける傾向にあり、一方、長らく停滞を続ける株価は、同様に停滞するトレンドにあるというものである。チャーチストは、チャートからそのようなトレンドを発見することに多くの時間と労力を投じる。そして、投資結果との相関が認められたトレンドは「パターン」と呼ばれ、発見されたパターンは、発見者により何らかの名前がつけられるのが普通である。
(次回へ続く)