砂上の楼閣理論を解説する 6

投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

5月19日から始まった「砂上の楼閣理論を解説する」
★★★好・評・連・載・中★★★本日・6日目★★★


前回までのあらすじ
→ファンダメンタルズ学派に対する学派の筆頭
 砂上の楼閣理論学派。同理論は、株式の
 ファンダメンタルズよりも投資家の群集心理を
 反映した株式の値動きに着目する。
 これはテクニカル分析と呼ばれるもので、
 株価チャートをつくり、それに様々な解釈を
 与える。そのような活動を行う者を一般的に
 チャーチストと呼ぶ。チャーチストの多くは、
 投資対象企業のチャートを分析すること以外
 には注意を払わないものだ。

http://www.wintrade.jp/pc/default.aspx?aid=7620


砂上の楼閣理論を解説する 6

 では、チャート分析を裏付ける理論的根拠は何か?と聞かれたとしても、チャーチスト達は返答に窮するだけであろう。実際のところ、チャーチスト達は、チャート分析の根拠について、「歴史は繰り返す」という以外の説明が出来ないことを熟知している。そして、彼らに出来ることは、市場が「どのように動く」かを知ろうと努力することであり、市場が「なぜそのように動く」かを知ろうとすることではないというのだ。つまり、チャーチスト達の主張によれば、株式投資のゲームに勝つためには、市場の動きを知ることが重要であり、市場がなぜ動くのかを知ることはそれほど重要ではない。特定の株が、例えば明日倍になると分かっていれば、それに投資をすればよいだけであって、なぜそれが明日倍になるかを知ることは、益がないばかりか、場合によっては有害になるとさえ言う。

 伝説的チャーチストであるマギーは、チャーチストのチャートに対する一般的な考え方として、次のように述べている。

「株価の観察者の中には、非常に抽象的なシンボルを用いることに不安を感じる者もいるだろう。このような人々は、株価の動きに何らかの「意味づけ」を行おうとする。彼らは、棒の動きを喧嘩や交尾といった豚の様々な行動に対応するものとして「解釈」したがるだろう。一方、私を含めた「正統派チャーチスト」を自認する人々は、そのような意味づけは一切行わない。我々は棒の動きのみを観察し、そこに生じたトレンドや、繰り返し等について分析を行うのである(株式市場の状況を、豚小屋の豚に取り付けられた棒に例えた逸話。豚に取り付けられた棒を株式市場におけるチャートに例えている)」

しかし、いずれにせよ、チャーチスト達が拠って立つ何らかの前提を共通に見て取ることは可能であろう。

第一に考えられるのは、投資家の群集心理における集団形成本能が一般的に形成される傾向があるということであろう。投資家が、例えばある会社の株式が「魅力的」であるとして上昇に上昇を重ねる事実を目の当たりにすれば、果たしてどうなるであろう。彼らは、一枚噛もうとして一緒になってみこしを担ぎ、株価上昇ゲームに我先に参加しようとするであろう。株価の上昇という事実そのものが、投資家の群集心理を共通化し、共通化された結果、ある種の集団形成本能が発揮されるのだ。そして、株価が上昇を続けるごとに集団形成本能は強化され、株価の更なる上昇に拍車をかけるのである。

次に考えられるのは、投資家の投資対象企業のファンダメンタルズ情報入手能力に格差および限界があり、そのことがチャートにおけるパターン形成を促進するというものである。つまり、情報の流通が非対称的で偏在的であり、そのことが結果的に情報偏重効果を生み、結果的に株価の動きをパターン化するというのである。
(次回へ続く)