砂上の楼閣理論を解説する 7

投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

5月19日から始まった「砂上の楼閣理論を解説する」
★★★好・評・連・載・中★★★本日・7日目★★★


前回までのあらすじ
→ファンダメンタルズ学派に対する学派の筆頭
 砂上の楼閣理論学派は、株式のファンダメンタルズ
 より投資家の群集心理を反映した株式の値動きに
 着目する。これはテクニカル分析と呼ばれ、株価
 チャートをつくり、それに様々な解釈を与える。
 そのような活動を行う者をチャーチストと呼ぶ。
 チャーチストは、その根拠を「歴史は繰り返す」
 以外の説明が出来ないことを熟知している。しかし
 共通の前提を見て取ることは可能である。それは、
 投資家の集団形成本能が形成される傾向があるとい
 うことと、投資家の情報入手能力に格差および限界が
 チャートのパターン形成を促進するということである。

http://www.wintrade.jp/pc/default.aspx?aid=7620



砂上の楼閣理論を解説する 7

 批判を覚悟であえて言うと、チャーチスト達が根拠の拠り所にしているテクニカル分析は、科学性と論理性のいずれもが欠如している場合が多い。チャートの分析とは、投資対象企業の過去のデータを元に、チャーチスト達の独自の解釈に依存している。そして、そのような解釈は、比較的まともなケースにおいては天気予報的統計学的手法か、悪質なケースにおいてはほとんど「占い」のような手法を採るのが一般的である。

 例を挙げよう。一般的なチャーチストは、投資先の株価を注意深く観察することにより何らかの「儲け話」を察知し、他の投資家を出し抜くことによって利益を獲得できると主張する。例えば、ある投資先が革新的な製造既述を発明したと仮定しよう。この場合、その会社の経営陣や株主といった特定のインサイダーがその情報をまず入手する。そして、往々にして自社株を入手する。その結果、株価は上昇する。次に、斯様なインサイダー達は彼らの家族や友人にその情報を教え、彼らが第二の株の購入者となる。そして、その情報は市場のトレーダーやアナリストといった関係者に知られるところになり、彼らのポートフォリオに組み込まれることになる。そして、最終的に、そのような情報から無縁の「愚かな一般投資家」がその情報にありつくことになる。

 上の例になぞれば、株価は、良いニュースに促進された場合には段階的に上昇し、逆に、悪いニュースに逆押さえされた場合には段階的に下落することになる。そして、このような「ニュースが促進する株価の値動き」とは、良きにせよ悪しきにせよ、株価形成のプロセスにおいては、上のような情報伝達過程が原動するため、チャートを注意してみることにより、必ず補足することが可能になるというのだ。多くのチャーチスト達は、特に株価が上昇局面に転じたケースにおいて、この手法を採ることにより現実に大金を取得したと主張するのだ。

 チャーチスト達はさらに、自分たちの投資アプローチの正当性を証明する根拠として、投資家の一般的な「習性」を挙げている。それによると、一般的な投資家とは、自分が株式を購入した価格を、投資における最も重大な情報として、絶対に忘れることなく覚えているというのである。例えば、長らく10万円程度の低水準で取引されていた銘柄があったとして、多くの投資家がこの銘柄を購入していたとする。そして、その銘柄の株価が8万円に下落したとする。そして、株価が投資家の購入価格にまで戻したとしたら、彼らの中には損得なしの水準で売ってしまおうと考える輩が出てくるであろう(信用取引を行っている場合は特に)。その結果、当初の価格である10万円が、チャーチスト達の主張する「拮抗線」になるというのである。そして、株価は、その「拮抗線」に到達するたびに(投資家の売りによって)下落に転じる。そして、「拮抗線」はさらに強固なものになってゆく。なぜなら、チャーチスト達の主張によれば、株価の一連の動きから、株価の先行きについてますます多くの投資家が懸念を抱き始めるというのである。
(次回へ続く)