ベンチャーキャピタルを解説する 2

投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

知的コラム☆「ベンチャーキャピタルを解説する」
★★★本日・2日目★★★ お見逃しなく!!

前回までのあらすじ
ベンチャーキャピタル(以下、「VC」)
 は、アメリカで誕生した。近代的VCは、
 金融業における銀行や証券業と同様、
 社会経済的事業としてある程度概念が
 一般化され、かつ、事業内容が平準化
 されたものと定義したい。
 VCのビジネスモデルの原型は、1946年に
 設立されたARD(アメリカン・リサーチ・
 アンド・デベロップメント社)に求め
 られるとする説が一般的である。ARD社は、
 第二次世界大戦終了後、軍事技術を民間に
 移転し、新たな事業として立ち上げる
 ための直接金融供給会社としてスタートした。


http://www.wintrade.jp/pc/default.aspx?aid=7620


ベンチャーキャピタルを解説する 2

 さて、ここで読者に直接金融と間接金融について説明しておく必要があろう。読者の多くはご存知であろうが、間接金融とは、銀行に代表される金融機関が、一般から預貯金や債権販売のかたちで集めた資金を、資金の需要家に対して融資等の手段で供給する金融制度である。一方、直接金融とは、資金の需要家が、一般から直接資金を調達する金融制度のことを言う。直接金融の多くは株式の販売等に依っているが、社債転換社債、あるいは優先株式の発行等も直接金融に含まれる。

 なお、我が国では歴史的に間接金融が主体であったとされる。これは、国家規模で資金が不足していた時代の名残とも言うべきもので、国内産業の育成のために、国家が偏在的に資金配分してきたことを原型としている。そのため、つい最近まで、我が国においてVCという言葉が一般的に使われ始めるまで、我が国で「金融」と言えば即ち「間接金融」即ち「銀行からの借入」を意味すると一般的に認識されていた。今でも、「金融」と言えば、一般的には即ち「サラリーマン金融」といったことがイメージされるであろう。

 しかし、アメリカでは、我が国とは違い、「金融」とは即ち「直接金融」を意味しない。「金融」をアメリカではFinanceと言うが、このFinanceのアメリカにおける一般的な意味は「資金調達」である。そして、「資金調達」の方法としてDebt Finance(借入や債権発行による資金調達)や、Equity Finance(株式の発行による資金調達)があるとされる。そのため、アメリカにおいては、「直接金融」と「間接金融」のようなカテゴリー分類は我が国ほどされない傾向にある。

 さて、アメリカにおけるFinanceの手段として一般的なのが、Debt FinanceにおけるLoan Finance(借入による資金調達)と、Equity Finance におけるStock Finance(株式発行による資金調達)である。そして、ベンチャーキャピタルが投資先として選択するのが後者のStock Financeである。

 ここでVCの一般的なビジネスモデルを解説したい。ところで、読者の殆どは既にお分かりであろうが、VCのビジネスモデルとは、ベンチャー企業に投資をし、育成し、Exitさせて売却益を得ることである。アメリカのVCも日本のVCも、基本的なビジネスモデルは同一であるが、細かいところに大きな違いがある。これは後ほど説明するが、アメリカのVCは、一般的に、リスクキャピタルをベンチャー企業に対して供給することを事業モデルとしている(なお、改めてこの事を言及する理由は、我が国では往々にしてこれが欠落したVCが存在しているからである)。

 リスクキャピタルを調達したベンチャー企業は、ビジネスを成長させ、何らかのかたちでExitし、キャピタルゲインを実現してVCに利益を還元するのである。
(次回へ続く)