ベンチャーキャピタルを解説する 3

投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

知的コラム☆「ベンチャーキャピタルを解説する」
★★★本日・3日目★★★ お見逃しなく!!

前回までのあらすじ
ベンチャーキャピタル(以下、「VC」)
 は、アメリカで誕生した。近代的VCは、
 金融業における銀行や証券業と同様、
 社会経済的事業としてある程度概念が
 一般化され、かつ、事業内容が平準化
 されたものと定義したい。
 VCの一般的なビジネスモデルとは、
 ベンチャー企業に投資をし、育成し、
 Exitさせて売却益を得ることである。


http://www.wintrade.jp/pc/default.aspx?aid=7620


ベンチャーキャピタルを解説する 3

 さて、我が国最初のVCは、1963年に政府出資のもとで設立された中小企業投資育成会社であるとされる。これは、VCというよりは、アメリカの中小企業公社SBCに近いものであるとされる。その意味で、我が国初の純民間VCは、1972年に設立された京都エンタープライズ・デベロップメント社であるとされる。しかし、この誉れ高き我が国初のVCは、残念ながら商業的には成功することなくその一生を終えた。

 なお、我が国初の本格的VCと呼ぶべきものは、やはり有名な日本合同ファイナンスであろう。この、京都エンタープライズ・デベロップメント社設立翌年の1973年に設立された会社は、今ではJAFCOという名に変わり、我が国における事実上最大、最強のVCとして君臨している。

 さて、JAFCO、当時の日本合同ファイナンスは、1982年に躍進を開始する。その理由は、商法改正による投資事業組合による投資事業の開始にある。

以前に解説したが、投資事業組合は、投資事業を目的とする任意組合で、投資によるキャピタルゲイン課税を直接的には受けない形態をとる。そのため、投資事業組合によるベンチャー企業への投資が一気に活性化することになった。

 なお、後程アメリカと日本のVCの相違点を説明するが、JAFCOは、後にJAFCOモデルと呼ばれる日本型VCの原型を作ったVCであるとされている。JAFCOモデルとは、一言で言うと投資資金を外部資本によって充足し、会社単体がVC投資を行って会社時価総額を増加させるというモデルである。これは、アメリカのVCが、主に個人投資家とパートナーシップの集合体として構成されているのに大きく相違している、世界的にも極めて珍しいタイプのモデルである。

 そして、このJAFCOモデルが一般的に日本型VCモデルとされているもので、現在大手VCと呼ばれているVCの殆どはこれと同じモデルを採用している。しかし、JAFCOモデルは、必ずしも賞賛ばかりされているわけではなく、逆に、悪評を少なからず受けている。その最大のものは、VCのレーゾン・デーテルであるところのリスクテイクを、必ずしも直接的に行っていないというものである。例えば、アメリカのVCは、あくまでも個人が個人投資家としてベンチャー企業に投資を行う。そして、損失が発生した場合は自分が投資した範囲で損失を被る。しかし、このJAFCOモデルにおいては、投資はあくまでも会社の「総意」として行われ、損失が発生した場合も会社全体の損失として損失が計上される。これは、傍目には美しい集団投資主義に見えるが、実際のところ、弊害の方が大きいとされる。なぜなら、ベンチャー投資とはそもそもリスクテイクがその骨子であり、集団合議制では、リスクテイクの本質を全うすることが必ずしもできないとされているのである。
(次回へ続く)