ベンチャーキャピタルを解説する 4

投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

知的コラム☆「ベンチャーキャピタルを解説する」
★★★本日・4日目★★★ お見逃しなく!!

前回までのあらすじ
ベンチャーキャピタル(以下、「VC」)
 は、アメリカで誕生した。近代的VCは、
 金融業における銀行や証券業と同様、
 社会経済的事業としてある程度概念が
 一般化され、かつ、事業内容が平準化
 されたものと定義したい。
 VCの一般的なビジネスモデルとは、
 ベンチャー企業に投資をし、育成し、
 Exitさせて売却益を得ることである。

http://www.wintrade.jp/pc/default.aspx?aid=7620


ベンチャーキャピタルを解説する 4

 さて、この辺でVCの仕組みを簡単に説明しておこう。VCの仕組みを語る際に、まず登場するのがベンチャー企業の存在である。ベンチャー企業の定義はさておき、ここでは、あるビジネスモデルやビジネスアイデアを持つ、創業間もない企業であるとしておこう。そして、そのような企業とは、成長資金をはじめ、直近に必要な運転資金すら持たない場合が多い。このような場合、企業は当座に必要な資金を調達する必要があるが、今までの我が国の場合、これを創業者または創業者グループが借入れることにより調達するケースがほとんどであった。

 しかし、このようなマネーは一般的にリスクマネーと呼ばれ、文字通りリスクの大きなマネーである。そして、経営者は、自らのビジネスが失敗した場合、自の投資も損失となり、ひいては自分が保証した債務の履行も迫られることになる。

 なお、これが今日とりわけ問題視されているリスクマネーの間接金融であるが、この打開策ないし代替策として登場したのが、VCによるリスクマネーの供給である。

 さて、VCの本質の第一は、このようなリスクマネーの提供にある。一方、単にリスクマネーを提供するだけなら、例えば我が国の中小企業投資育成会社に代表されるような、公的機関が十分に担当できるであろうという意見が出される。しかし、これは事実の一片に過ぎない。VCの本質の第二として、リスクマネーを提供する見返りとして、それに見合ったリターンを獲得することが挙げられる。つまり、VCのビジネスの骨子は、どちらかというとリスクマネーの提供はその手段であり、目的としているのは巨額のリターンである。

 なお、VCがどれだけのリターンをあげられるについては一概に論じられないが、客観的な事実として言えることは、VCが自己完結的に運営されるに十分なリターンをあげているということであろう。この件について詳しく調べてみたいという方は、直近のJAFCOの財務諸表等をご覧になると良い:

http://www.jafco.co.jp/

 次に、VCの運営形態を説明しよう。先にJAFCOモデルと呼ばれる日本型VCモデルが存在することを説明した。このJAFCOモデルとは、投資事業組合方式による投資活動が展開される以前に発芽し、1982年頃までにモデルの大体が形作られたとされるものであるが、大雑把な言い方をすると、投資資金を投資事業組合という資金プールを持たないまま自社のバランスシートの、投資の部からの支出により投資を行い、また、同時にバランスシートの、貸付金の部からも支出を行い、リスクをヘッジするというものである。これは、ごく近年まで続けられてきた「悪癖」とも言うべきものであるが、このために、我が国には本来的な意味でのVCが存在していないとも言われているのである。
(次回へ続く)