ベンチャーキャピタルを解説する 6

投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

知的コラム☆「ベンチャーキャピタルを解説する」
★★★本日・6日目★★★ お見逃しなく!!

前回までのあらすじ
ベンチャーキャピタル(以下、「VC」)
 は、アメリカで誕生した。近代的VCは、
 金融業における銀行や証券業と同様、
 社会経済的事業としてある程度概念が
 一般化され、かつ、事業内容が平準化
 されたものと定義したい。
 VCの一般的なビジネスモデルとは、
 ベンチャー企業に投資をし、育成し、
 Exitさせて売却益を得ることである。


WINTRADE


ベンチャーキャピタルを解説する 6

 一般的なベンチャーキャピタルは、投資先を成長段階に応じて次のようにカテゴライズする。つまり、シード、スタートアップ、アーリー、ミドル、レイターの五段階である。

 シードとは、まさに「種」を意味し、実際に事業が始まっていない段階を意味する。単なる事業アイデアや、事業計画の段階で、売上そのものが獲得できていない状態である。独自の検索アルゴリズムを考案した学生が、「これを検索ロボットに応用すれば検索技術が格段に向上し、その結果、何らかのビジネスになるかもしれない」と考えているような段階である。
 
 スタートアップとは、シードであったビジネスアイデアが実際に具現化され、まがりなりにも事業としてスタートした段階である。上の例を続けると、独自の検索アルゴリズムを実際にプログラムとして開発し、それを検索ロボットに組み込んで実際にシステムを稼動した直後、といった段階である。

 アーリーとは、スタートアップの事業が稼動し、それが何らかの「売上」を計上した段階である。「売上」の概念はVCにおいて重要で、「売上」が計上されて始めてベンチャー企業フィージビリティの議論が展開されるようになる。なお、アーリーにおいては、売上を獲得するまでに要した時間はそれほど重要視されない。中には、ビジネスアイデアの発案からそれこそ数日で売上を上げるものもあり、一方、数十年に及ぶ研究活動の結果、ようやく売上を計上する、研究開発型のベンチャーもある。特に、バイオ系や製薬系のベンチャー企業は開発に時間がかかり、売上の日を見るまでに相当の年月がかかると言われている。

 ミドルとは、売上の計上が恒常的、かつ経常的になされるようになった段階である。毎月固定の売上がある、あるいは年次で経常的な売上が計上されているといった段階である。この段階において重要なのは売上の成長性で、ある程度の指数関数的な売上の成長が期待される。売上が年率で5%しか成長しないベンチャー企業と、150%成長する企業とでは、その背景にあるものやビジネスモデルそのものの評価がおのずと違ってくるであろう。

 レイトステージとは、通常はIPO直前の段階を意味する。投資をするには「遅い」という意味でLateと言うものと思われるが、このような段階におけるベンチャー企業は、通常は多くのVCが既に投資を行っているのが普通であり、その意味からもVCが投資を行おうにも「遅すぎて」行えないといったような段階であろう。しかし、後述するが、不思議なことに我が国のVCとは、往々にしてこのレイトステージに対する投資を行うのが一般的であるのだ。投資するには「遅すぎる」はずの企業に、VC、特に有力VCが投資を行うということの背景は、どのようなものなのであろうか。
(次回へ続く)