ベンチャーキャピタルを解説する 10

投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

知的コラム☆「ベンチャーキャピタルを解説する」
★★★本日・10日目★★★ 好評連載中!!!

〜◆〜 プレ知識 〜◆〜
 ベンチャーキャピタル(以下、「VC」)は、アメリカで誕生した。
 近代的VCは、金融業における銀行や証券業と同様、社会経済的事業
 としてある程度概念が一般化され、かつ、事業内容が平準化された
 ものと定義したい。
 VCの一般的なビジネスモデルとは、ベンチャー企業に投資をし、育成し、
 Exitさせて売却益を得ることである。VCによる投資は通常、複数のVCに
 よって行われ、その中で一番早く一番大きなシェアを取って主体的に
 動くことをリードと呼ぶ。


勝ち組トレーダーへの近道!!オススメのサイト↓↓
WINTRADE


ベンチャーキャピタルを解説する 10

 例えば、銀行系ベンチャーキャピタルの場合を考えてみよう。我が国の銀行、特に都市銀行は軒並み系列にベンチャーキャピタル会社を持っている。みずほ銀行みずほキャピタル三井住友銀行SMBCキャピタル、旧東京三菱銀行のダイヤモンドキャピタルといったところが例である。そして、これは往々に言われている事であるが、銀行系ベンチャーキャピタルは、我が国ベンチャーキャピタル業界において最も保守的で、悪い意味において最も銀行的であると言われている。

 銀行的なベンチャーキャピタルという意味は、案件の発掘から投資実行、エクジットに至るあらゆるプロセスにおいて、銀行のロジックが応用されているということである。例えば、案件の発掘であるが、銀行系ベンチャーキャピタルは、例えば独立系ベンチャーキャピタルなどと違い、自ら主体的に案件を発掘することはまずない。また、銀行系ベンチャーキャピタルが、そもそもリードを取るということもなく、どこかが投資した案件の「不足額」や「充当額」を供給する資金ソースとして機能しているのである。

 その場合、銀行系ベンチャーキャピタルにおける案件の発掘は、厳密な意味での案件の発掘ではなく、正確なニュアンスとしては「投資案件情報の共有」が実体であろう。例えば、J社という我が国最大のベンチャーキャピタルが、あるベンチャー企業に投資を行うことを決定したとする。すると、この手の情報は業界では直ちに伝播するので、銀行系ベンチャーキャピタルはたちまち情報を入手する。そして、銀行系ベンチャーキャピタルはやおらに投資を行うかどうかの「投資会議」を行い、投資を検討する。そして、これも銀行の性向に近いが、ある程度の「キャップ」の範囲内において、投資を実行する。なお、この種の投資方法はコ・インベストメント(Co-Investment:直訳すると共同投資になろう)と呼ばれ、最近の我が国におけるベンチャー投資の一般的方法になってきている。しかし、業界の中では、口の悪い輩は銀行系ベンチャーキャピタルのこの手の投資方法を「子・インベストメント」と呼んでいる。J社やN社の「子供」のように、主体性なく投資をすることからそのように呼ぶのであるが、まさしく、我が国の銀行系ベンチャーキャピタルの投資は「子・インベストメント」であろう。

 また、銀行系ベンチャーキャピタルは、中途採用者を除いて主要なスタッフは親会社から送られてきている場合が多い。そして、これも一般論であるが、銀行から送られてくる人材は、銀行の第一線からはずれている者が多く、必ずしも有能な人材ではないとされる。そして、そのような人材は、トップを含めて、リスクを取ることを嫌がり、責任回避を目的とした合議主義を取る傾向があるとされる。そのため、銀行系ベンチャーキャピタルがシード期やアーリーステージにあるベンチャー企業に投資を行うことはほとんど絶対にない。あなたが例えばベンチャーキャピタルからの投資を検討しているとした場合、また、アーリーステージにあるとした場合、銀行系ベンチャーキャピタルに足を運ぶことは、まったくの無駄足になるということを覚えておかれるとよいと思う。
(次回へ続く)