ベンチャーキャピタルを解説する 11

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正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

知的コラム☆「ベンチャーキャピタルを解説する」
★★★本日・11日目★★★ 好評連載中!!!

〜◆〜 プレ知識 〜◆〜
 ベンチャーキャピタル(以下、「VC」)は、アメリカで誕生した。
 近代的VCは、金融業における銀行や証券業と同様、社会経済的事業
 としてある程度概念が一般化され、かつ、事業内容が平準化された
 ものと定義したい。
 VCの一般的なビジネスモデルとは、ベンチャー企業に投資をし、
育成し、Exitさせて売却益を得ることである。VCによる投資は通
常、複数のVCによって行われ、その中で一番早く一番大きなシェア
を取って主体的に動くことをリードと呼ぶ。


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ベンチャーキャピタルを解説する 11

 ベンチャーキャピタルによる投資案件の発掘方法に話を戻そう。これも一般論であるが、ベンチャー企業ベンチャーキャピタルとは、それぞれが売り手と買い手になりうる相互市場原理が働いている。例えば、あなたが起業したベンチャー企業が、ある画期的な製品を開発したとしよう。そして、その市場規模が極めて膨大であるとした場合、多くのベンチャーキャピタルはあなたの会社に投資をしたいと言ってくるであろう。その場合、あなたの企業が買い手であり、一方のベンチャーキャピタルは売り手になる。また、その場合、投資の額も買い手市場になり、あなたは少ない株数で多くの資本を調達することが可能になるであろう(なお、これはバリュエーションと呼ばれ、VCが投資を行う際の投資実行額を意味する。このバリュエーションについては後に詳述する)。

 一方、あなたの会社がそれほど魅力的でなく、しかし、着実に利益を獲得しているミドルステージにいたとしてみよう。その場合、例えばベンチャーキャピタルが、まあ投資をしなくてもいいといった状態になるであろう。それに対し、あなたの会社としては、さらなる事業拡大のため、つなぎで5千万円がどうしても必要であるとしよう。その場合、あなたの会社はベンチャーキャピタルに対して売り手となり、一方のベンチャーキャピタルは買い手となるであろう。この場合、ベンチャーキャピタルによる買い手市場が形成され、あなたの会社の投資バリュエーションは相対的に低くなる。

 また、ベンチャー投資においては、「どこが出資をしているか」もバリュエーションや市場形成を決める要因になる。例えば、数年前に問題になったあるVC(厳密に言うと、VCではないかもしれない。同社は公式に「コンサルティング会社」であるとしている)がある。この会社、仮にV社としておく、は、二代目社長の強い意向から全社をあげて多くのベンチャー企業に投資を行った。当時、ベンチャー投資におけるミニバブルが形成されていたこともあり、V社は短期間で巨額の利益を上げ、そして、まもなく巨額の損失を計上した。V社の提灯に追随するかたちで多くの個人投資家が同様に投資をしたが、それにより、数多くの投資家が莫大な損失を被った(このあたり、先のライブドア事件に酷似している)。このため、一部の証券会社が同社を非難し、同社は一瞬にして「悪者」のレッテルを貼られた。そして、そのことにより、V社の出資基準はVCにおいては「特異」であるとされ、同社は長らくVC業界の「異端」として悪名を響かすことになったのである。

このような状態になると、V社から出資を受けたベンチャー企業は、世間からV関連ベンチャー企業とみなされるのを恐れ、一斉にV社の出資を「解消」する方向に動き出す。ベンチャー企業達は、秘かに出資解消をV社に迫り、中には公然と第三者への売却を声高に主張するケースも出てきた。このあたりも、ライブドア関連企業がこぞってライブドア離れを画策している今日に通じるところであるが、当時の状況は、殆どカオスと呼ぶべき異常事態であった。
(次回へ続く)