ベンチャーキャピタルを解説する 12

投資で勝てる人は、実は一握り
正しい知識を身につけ、知的投資家になろう!

知的コラム☆「ベンチャーキャピタルを解説する」
★★★本日・12日目★★★ 好評連載中!!!

〜◆〜 プレ知識 〜◆〜
 ベンチャーキャピタル(以下、「VC」)は、アメリカで誕生した。
 近代的VCは、金融業における銀行や証券業と同様、社会経済的事業
 としてある程度概念が一般化され、かつ、事業内容が平準化された
 ものと定義したい。
 VCの一般的なビジネスモデルとは、ベンチャー企業に投資をし、育
成し、Exitさせて売却益を得ることである。VCによる投資は通常、
複数のVCによって行われ、その中で一番早く一番大きなシェアを取
って主体的に動くことをリードと呼ぶ。


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ベンチャーキャピタルを解説する 12

 このようなカオスの結果、V社の投資した会社というだけでマトモに事業が出来ない事態に展開した。「V社関連」という蔑称を与えられた同社出資のベンチャー企業は、色を払拭するためにあらゆる努力を強いられることになり、一方、証券業界および投資家全般における同社のレピュテーションは下落し続けた。

 事態を打開するためにV社は、社長が率先垂範して投資の健全性を声高に宣伝し続けたが、業界はそれを信じなかった。そして、事態が沈静化してから数年が経過した今となっても、V社が出資をしているベンチャー企業、または、V社から出資を受けているベンチャー企業というものは、ある種の先入観とともに眺められているのである。

 以上が、ベンチャー企業に対して「どこが出資しているのか」がなぜ重要であるかの理由である。特に、レピュテーションリスクを評価するベンチャー企業は、資本政策を策定するにあたり、「どこに出資させるか」を慎重に検討する。

 さて、ベンチャーキャピタルの案件発掘方法に話を戻そう。先に銀行系VCが案件を主体的に探索することはないと述べた。次に、証券系および独立系VCについてだが、こちらは比較的主体的に案件を発掘する。特に、最大手のJ社などは、極めて精力的に案件を開拓している。J社では、案件開拓をチームで行っており、チームは業界ごとに編成されている。対象とする業界はメディカル、IT、バイオといった、いわゆる成長産業に絞られており、チームの業界に関する知識は著しく高い。そして、人材の高度化につれて業界内の縦横の連携が強まり、情報の蓄積が進む。そして、情報の蓄積と人的なつながりこそ、案件発掘の重要な温床になるといわれる。

 話はそれるが、後に解説するバイアウトファンドにおいても、案件の発掘については人的つながりに依存する傾向がある。極端な例であるが、日債銀のバイアウトについても、当初は大蔵省の一部関係者間の極秘事項として情報が共有されていたに過ぎなかった。それを、一担当官の「私的つながり」からなるアメリカのバイアウトファンドに話が持ち込まれ、結果的にリップルウッド社のバイアウトへと展開した。プライベートエクイティにおける「案件発掘」とは、いずれにせよ、村上ファンド的「インサイダー情報」に終始するのかもしれない。

 話はさらにそれるが、日銀の福井総裁が村上ファンドに出資していた件がニュースになっている。これこそ、まさにプライベートエクイティ的(なお、村上ファンドプライベートエクイティではない)な「インサイダーによる情報共有」の典型例であろう。東大法学部卒業者同士の縦横の連携、特に金融に幅を利かす東大金融人材ネットワークの「情報共有」は、我々が想像する以上に強固で、芳醇なものなのかもしれない。